多くの方が「アメリカ人と結婚したのだから当然永住権は取得できる」「要求された書類さえ提出すればそれでいいのだろう」と考えていらっしゃいますが、永住権は容易に取得できるものではありません。
申請から取得まで1年以上かかる大変な手続で、申請が却下になる可能性もございます。
もちろん却下になった場合は永住権を取得することはできません。
永住権申請は実質上アメリカへの移民手続になります。
政府が申請者をアメリカに移住させていいのか1年以上時間をかけて厳しく審査し、その審査に通った申請者にだけアメリカ移住の権利が与えられるといった手続です。
つまり、永住権はアメリカ人と結婚したからといって無条件に与えられるものではなく、規定を満たした方にのみ与えられる特別な権利なのです。
したがって、申請前に申請者、アメリカ人の配偶者の方(スポンサー)が永住権の規定を満たしているか確認することが大事になります。
確認した結果、取得の可能性が高い場合には申請を行うという流れが一番リスクを最小限にした永住権申請になります。
よって当事務所ではクライアント様のために、まずは法律相談で取得の可能性を診断することをおすすめしております。
当事務所にはカップルで申請した後に、実はスポンサーの方が規定を満たしていなかった、過去にオーバーステイ歴があったなどトラブルが見つかってしまい法律相談をご依頼いただくことが非常に多いです。
申請された後ですと、場合によっては当事務所でどんなに手を尽くしても状況が改善できないこともございます。
そういった最悪の事態に未然に対処するためにも申請前に法律相談を受けることをおすすめします。
1. 結婚によるアメリカ移住の流れ
アメリカ人との結婚による基本的なアメリカ移住のフローとしては、アメリカ人の配偶者(永住権保持者)をスポンサーとし、K-1、K-3ビザ(非移民ビザ)かIR-1,CR-1ビザ(移民ビザ)を取得し、渡米後、永住権を取得するといった流れになります。
移民ビザ(永住権)について
- IR-1ビザ・・・婚姻2年以上の方に与えられる10年間有効の移民ビザ
- CR-1ビザ・・・婚姻2年未満の方に与えられる2年間有効の移民ビザ
上記ビザで渡米し、永住権に切り替えます。
非移民ビザについて
- K-1ビザ・・・アメリカ国籍者の婚約者にあたえられる非移民ビザ
K-1ビザで渡米後90日以内に入籍、永住権の申請を行います。
- K-3ビザ・・・アメリカ国籍者の配偶者に与えられる非移民ビザ
永住権と同時に申請を行う必要がございます。K-3ビザが永住権より
早く下りた場合のみK-3ビザで渡米し、永住権の申請を行います。
※永住権保持者をスポンサーとする場合K-1ビザ、K-3ビザは申請できません※
ただ、具体的にどのビザを取得して渡米するかはクライアント様のご状況やご要望によって変わってきますので、渡米の方法に関しては下記をご参照ください。
2.アメリカ人(米国籍者)と結婚しているor予定の方
米国籍者の方と結婚し、永住権を取得するための方法はいくつかございます。
どんな方法でも取得に1年以上はかかりますが、クライアント様のご状況、ご要望により少し取得を早める方法もございます。
下記をご参照下さい。
① アメリカ人と婚約中の方
日本でK-1ビザ申請→発給→渡米→アメリカで入籍(90日以内)アメリカで永住権申請
K-1ビザ発給まで約1年
② アメリカ人と結婚していてシンプルな申請がご希望の方
日本で入籍→移民ビザ申請→発給→渡米→アメリカで永住権に切り替え
移民ビザ発給まで約1年半
③ アメリカ人と結婚していてとにかく早く渡米されたい方
日本で入籍→移民ビザ、K-3ビザを同時に申請→K-3ビザ発給→渡米→アメリカで永住権手続
※K-3ビザが先に発給された場合、K-3ビザで渡米。
K-3ビザ発給まで約1年
3.永住権保持者と結婚した方
永住権を取得する方法は上記②と同じになります。
永住権保持者をスポンサーとする場合、K-1ビザ、K-3ビザは申請できません。
移民ビザ発給まで約2年半
4.アメリカでの永住権申請(ESTAでの入国)について
当事務所ではESTAでアメリカに入国し、永住権申請をする方法はおすすめしておりません。
結婚による移民手続は通常日本からになります。
繰り返しにはなりますが、移民ビザ、非移民ビザを取得後渡米し、永住権を取得するというのが通常の流れになります。
ESTAでの入国を考えた場合、まず、仮にESTAの承認が下りても、入国の際に結婚を目的に入国していると疑われれば入国拒否を受ける可能性があります。
また、もし入国ができ、永住権を申請したとしても、ビザが却下になってしまったり、一緒に過ごしていく中でお互いに気が変わって離婚となってしまい、途中で永住権申請をキャンセルしてしまえば、90日以降の滞在は「不法滞在(オーバーステイ)」となってしまいます。
残念ながら現行法によるとたった一日でもオーバーステイとなってしまえば、ESTAは剥奪されます。
加えて、オーバーステイの日数によっては入国禁止期間も設けられていますので、その期間はビザを取得して入国することも原則できません。
オーバーステイによる罰則
オーバーステイ期間 |
罰則 |
半年以内 |
ESTA剥奪 |
半年以上1年未満 |
ESTA剥奪、3年間入国禁止 |
1年以上 |
ESTA剥奪、10年間入国禁止 |
上記の通り、ESTAでの入国→永住権の申請は非常にリスクが高い方法になります。
本来、アメリカ人と結婚し,アメリカから永住権を申請するケースというのは既に就労ビザを持っているなど合法的なアメリカでの滞在ステータスをお持ちの方が、アメリカ人と結婚し、必然的に現地でステータスチェンジをする場合になります。
5.永住権申請のご状況チェック
下記チェック項目に一つでも当てはまる方は申請前に対策や改善が必要である可能性がございます。
個別のアドバイスをご希望の場合は、法律相談をご検討ください。
- そもそも永住権の申請の仕方がわからない方
- 英語の文章を読むことに抵抗がある方
- アメリカ人と結婚すれば、簡単に永住権が取得できると思っている方
- お仕事が非常に多忙なため、永住権手続に時間を割く余裕がない方
- 申請者、アメリカ人の配偶者双方が規定に満たしていなければ、却下になってしまうという事実を知らなかった方
- カップルで申請準備をしているものの、申請するタイミングがわからない方
- オーバーステイ、重婚などのトラブル歴がある方
- アメリカで生まれたためにアメリカ人だが、日本在住、日本で就労しているため、アメリカでの収入が全く無い方
- 離婚した配偶者との連れ子がいるが、その場合の申請の仕方が分からない方
- お相手の方(米国籍者あるいは永住権保持者)の収入が充分であるか心配、あるいはお相手の方が無職である場合
- お相手の方との交際歴が短い方
- 現在非移民ビザで米国滞在中であるため、米国内で永住権に切り替えたいが、注意点などの知識がない方
- ESTAで入国して、そのまま現地で永住権を申請するようにアドバイスを受けている方
- お相手の方(米国籍者あるいは永住権保持者)が一方的に手続を進めているが、実際に永住権を申請する自分自身が全く状況を理解していないことを懸念している方
- 既に永住権を申請中だが、適当に申請してしまい、自分だけで申請したことを後悔している方。
上記チェック項目に一つでも当てはまる方は
当事務所の法律相談(ビザ・永住権相談)をご利用ください
当事務所のサービスは2ステップ制となっております。法律相談でビザ取得の可能性を診断し、その結果によってはオプションの申請サービスをお受けするといった流れになっております
これまで、アメリカ国籍者、永住権保持者と結婚し、アメリカに移住するための方法をご紹介いたしましたが、その方の状況や今後のプランによってどの方法が最適かは異なって参ります。合っていない方法を選択してしまうと様々なトラブルが起き、クライアント様の予定が崩れてしまう可能性もございます。
当事務所の弁護士による法律相談では、ビザの取得をご希望とされているクライアント様の状況を弁護士が明確に把握した上で、ビザの可能性、最も適した方法及び総合的なコンサルテーションをご提示させて頂いております。
申請者の方のご状況だけでなくスポンサーとなる米国籍者が永住権の条件を満たしていらっしゃるのか等の確認もさせていただきます。
ビザ申請サポートをご希望される方のアメリカビザ・永住権取得の可能性引き上げ、効率的かつ迅速な申請を行うために2ステップ制を採用しております。
ステップ1の法律相談の結果によってオプション申請サポートをお受けしておりますので、申請サポートをご希望の方にとって法律相談は必須です。
もちろんご自身で申請されることを前提に、事前にビザ取得の可能性を診断する目的で法律相談のみ受けることも可能です。